木馬の騎士~子どもの情景から
このハ長調の木馬の騎士は、技術的には油断がならないが、内容は連作のこれまでの曲ほど複雑ではないのです。
モチーフはジグザグ型に何かを混ぜ合わせたものが木馬の騎士を優勢に支配しています。
そしてこれら曲を演奏していくうちに、別々に出されたモチーフは実はみんな同じ素材が変化したもの。
つまり、6度音程と音階と6度の動くジグザグのモチーフが変化したものに過ぎないということが分ってくるのです。
この連作の中心部である前の2曲はヘ長調だったが、木馬の騎士では中立的なハ長調に戻るのです。
連作の基調はト長調なので、シューマンはト長調に戻る準備をしているのだというのが論理的な判断かもしれない。
でも、この曲では次の曲で驚かされることの準備をしているだけなのだ。
〔きまじめ〕(子どもの情景から)「きまじめ」はとても不思議な曲です。
タイトルもあいまいです。
とてもきまじめでなくて、まじめでないのでなくて、それはほとんどきまじめすぎるのです。
この曲のもう1つの不思議な点は嬰ト短調であるということです。
ハ長調で中立的な調性の領域に移って、この連作を丸く完成させることなのだろうか。
しかし、驚いたことに木馬の騎士がハ長調で終わったあと、きまじめで最初に聞こえてくる音はD#レの#の音なのです。
この音は何よりもハ長調のカンジを破壊してしまいます。
かと言って、ト長調の準備をするのではないのです。
最初はEbミのbの音が我々をハ短調の領域に導くのかと思うかもしれない。
それは不思議なことだが、まったく予期できないということでもないのである。